箱罠は金属や木枠の箱に踏板や吊り糸式トリガーを組み込み、イタチが餌を取ろうとして奥へ進んだ瞬間にスプリングか重力で扉を落として閉じ込める構造で、捕獲個体が傷つきにくく希少種を誤捕獲した際も安全に放逐できる点が最大の利点だが、イタチは警戒心が強く入口が広いと躊躇するため幅9〜10 cm・奥行30 cm程度の細長い筒型を選び、出荷時の塗油臭を中性洗剤で洗い落としたのち48時間以上風乾し周囲の枯れ葉をこすりつけて人工臭を消す“エージング”を行うと進入率が格段に上がる。くくり罠は直径5〜8 cmのワイヤーループを地面に設置し足が輪の中心を踏んだ瞬間にトリガーが作動してワイヤーが絞まり拘束する猟友会伝統の捕獲法で、雪面や獣道など箱罠を置けない狭所でも設置でき捕獲効率は高いものの、暴れる際の骨折や皮膚損傷を招きやすく動物愛護管理法と自治体条例で細かな規格と許可申請が必須となるうえ、家庭の庭先や住宅地では誤捕獲や子ども・ペットの接触事故が現実的リスクとなるため実用性は低い。ライブトラップは樹脂メッシュや軽量アルミで作られたケージとワンウェイフラップ扉を組み合わせた近年普及型で、重量1 kg前後と持ち運びや屋根裏への搬入が容易なことに加え、マグネット式感圧プレートを備えた上位機では300 g程度のネズミでは作動せず800 g以上のイタチで確実に閉扉するため非対象種の誤捕獲を大幅に削減できるが、紫外線や低温で樹脂部品が劣化しバネ弾性が落ちやすいので屋外では必ず波板やコンパネで日除け・防雪覆いを併用し、月1回シリコングリスを扉軸に注油して保守することが不可欠である。設置場所は、箱罠とライブトラップは巣穴と餌場を結ぶ壁際や梁の通路中央に平行配置し、両側に30 cm程度の板やブロックで視界を遮り正面からしか入れない「一択ルート」を作るのが鉄則で、くくり罠は踏み跡の窪み深さを5 mm程度掘り下げワイヤーループを埋め戻し、踏み木を輪中央に置いて全体を薄く落ち葉で隠し、人臭を消すためゴム手袋の上に未使用の軍手を重ねる二重装備が望ましい。餌は繁殖期(3〜5月)は高タンパクの鶏皮やサバの缶詰、越冬期(11〜2月)は油脂分の多いイカくん製品や豚脂を少量加熱して香りを立てた物が誘引効果大で、傷みやすい夏場は冷凍ササミを半解凍で使い12時間ごとに交換し腐敗臭を防ぐとウジ発生も抑えられる。捕獲後は布で覆って暗所保管し24時間以内に自治体指示に従い搬送処理する必要があり、この際運搬ゲージを二重にして逃走防止と糞尿飛散防止を徹底する。さらに再侵入防止には罠設置と並行して通気口やケーブル貫通部を4 mm目合いのステンレスメッシュで封鎖し、屋根裏断熱材表面に鉄粉入り忌避パウダーを散布、外周にはフラッシュ式防獣ライトを高さ30 cmと1 mの二段で設置して夜間行動を妨げると、捕獲後の空白域を新個体が奪う“空間再占拠”を防ぎやすい。罠使用時は市町村長の捕獲許可票を罠から2 m以内の見やすい位置に掲示し、設置・点検・捕獲・処分の日時を記録台帳に残すことが法令順守の基本であり、住環境や安全要件を踏まえた装置選択と臭覚・行動学に基づく設置工夫が成功の鍵となる。