株式会社 フカサワ 深澤 雄一 社長


梱包機械類包装資材卸売業
「共栄の商道」を理念に掲げ

どんな生産品にも欠かせないのが包装。
株式会社フカサワは梱包・包装資材の提供を通して企業活動の活性化に寄与する。
その基礎にはお客様と共に考え、共に歩む「共栄の商道」の理念が息づいている。


profile

昭和24年(1949年)栃木県那須烏山市生まれ。
県立烏山高校から大阪芸術大学へ進み工業デザインを学ぶ。
昭和49年に入社し、東京支店、両毛支店、宇都宮支店に勤務。
同60年に常務、同63年に専務に就任。平成4年に代表取締役社長に就任。


わら製品製造から包装資材販売への転換
深澤 雄一社長
深澤 雄一 社長

 昭和21年、現会長の深澤俊雄氏が、旧南那須町(現那須烏山市)に荒縄などのわら製品を製造する個人経営の深沢商会を創業したのが始まり。家庭用燃料メーカーと提携し、練炭を縛る縄の自動製造機などの代理店として業績を伸ばしていった。しかし、高度成長期を迎えた日本では、化学製品が普及し、わら製品の需要は急速に落ち込んでいく。
 わら製品製造から撤退を模索するために、いわば〝アンテナショップ〟として、昭和39年に東京支店を開設した。業態もメーカーから包装関連資材の販売商社への転換を進める。同46年には営業の拡大とさらなる飛躍を目指して、宇都宮市今泉町に宇都宮支店を設けた。折しも栃木県内には宇都宮の平出工業団地をはじめ、鹿沼・真岡などに続々と大きな工業団地が造成され始めていた。
 これらの工業団地に関西地方などから進出してきた工場との取引が生まれ、わら製品の製造から完全に撤退を果たすことができた。瞬く間に東京支店よりも宇都宮支店の取扱いが多くなり、続く同47年には株式会社フカサワを設立する。
 深澤社長は大学で工業デザインを学び、卒業後の2年間、応接セットなどの家具をつくる会社に勤めた後、25歳でフカサワへ入社。スタートは東京支店だった。昭和49年のことである。「東京支店に4年半いまして、その後、両毛支店の立ち上げに携わりました。その1年後には宇都宮に移って営業を担当することになりました」。製造から販売へ大きなシフトの転換を図っていた時期に当たる。


資材だけでなくソリューションを提案

 パッケージと物流ソリューションの専門商社」が同社のキャッチフレーズ。生産材や包装物流・調達を主力業務とするが、〝物〟ばかりでなく、ソリューションを提供することに力を入れる。年ごとに高度化する生産体制や物流システムに対応するため、お客様の置かれている状況を良く理解し、迅速かつ的確に提案していく。この時に生きるのが創業以来蓄積して来た膨大なノウハウだ。
 梱包用バンド、粘着テープなど直接包装に使用する多種多様な製品のほか、コンベアなど搬送機器・包装用の機械などの機器類まで、取扱う商品は幅広い。「工業用や農業用の梱包資材が8割くらい、残りの2割はそれらに付随する機械類です」と深澤社長。工場やオフィスを全て営業の守備範囲に収める「ワンストップ商社」を目指している。
 同時に多店舗展開によって密度を高め、『お客様のもとへ1時間以内で到着する』地域密着型のサービスに取り組んでいる。この基本方針のもと、各地に出店を進めてきた。両毛に続き、水戸・土浦・下館・郡山・伊勢崎・成田というように、隣県各県に最低1店舗を出すことを目標にした。それまではなかった埼玉県にも平成23年、鶴ヶ島営業所を設けたため、現在、本社のほか関東1都6県に11カ所の営業拠点がある。基本的には今後もこの営業方針に大きな変化はないそうだ。
 深澤社長は昭和60年、36歳の時に常務として経営陣の一角に加わった。昭和40年代以降、トップダウン方式で業績を上げてきたが、バブル崩壊という危機に直面し、かじ取りの方向を修正する。「ちょうど役員になったころです。ボトムアップの方法論を勉強し、トップダウンとボトムアップを組み合わせ、交互に繰り返しながら進んでいく方法を取りました」。こうした努力の積み重ねで経済の低迷期を乗り切り、43歳で社長に就くころにはこの方向性が確立した。


地道な全天候型経営で未来への道を開く
株式会社フカサワでは、包装資材・工場資材・機器・システムを取扱う
株式会社フカサワでは、包装資材・工場資材・機器・
システムを取扱う

 深澤社長は企業には『文明型企業』と『文化型企業』があるとする。自動車など時代とともに常に変わり続ける性格の『文明型企業』は、輸出や国外での生産なども可能だ。しかし、衣食住にかかわる『文化型企業』は、時代が変わっても基本的な部分は大きく変化することがない。国外での展開にもあまりなじまない。
 かつてはお客様の多くを占めていた文明型の企業が輸出に重点をおくようになったため、同社も食品や住宅関連など文化型企業にシフトして対応してきた。「日本を取り巻く海洋に豊富な資源が眠っていることが少しずつ分かってきました。もともと技術力は持っているわけですから、これを活用できるようになれば将来的には国内に生産活動が戻ってくると考えています」と、今はそこに備えて準備しておく時期ではないかと分析する。
 創業以来、いかなる条件のもとでもしずつ収益を積み上げていく〝全天候型〟の経営を旨としてきた。事業構造そのものが受注型・外商型・販売型であり、かつ労働集約型であるため、リスクは少ないものの、一度に大きな利益増も期待ができない。営業力の増大・効率化、財務・事務の効率化を徹底しながら安定し信頼される企業体制を固める努力を行っている。
 「今後もしっかりと生き残っていくため、私自身の後継も含め、今は次代へのバトンタッチの時期と考えています。そのため思い切って若返りを図り、各支店の支店長に30歳代から40歳代の中堅社員を配置しました。元支店長がそこにサポートに入る体制です」と、深澤社長は企業としての新陳代謝の取り組みを語る。小回り良く、すき間を埋めていく〝便利屋〟であり続けたいという。
 経営理念に『共栄の商道』の言葉を掲げている。得意先はもちろん仕入先もお客様との意識を持って、すべてにおいて信頼関係を築いていこうというのがその根本的な精神だ。取引関係全体が地域・共同社会であるとの考えのもと、人と人との信頼関係を高めることを通して〝社会最適〟を追求していくとする。
 また、包装資材は環境とは切り離せない性質を持っている。利便性のみに目を奪われ〝使い捨て〟を求めていくと、環境破壊に行き着くことは間違いない。同社は環境配慮型商品を提案・提供することによって、環境にやさしい循環型社会を築くこと目指す。ISO14001認証取得は、そうした社会的責任を担い続けることの決意表明ともいえる。
 栃木県は工業・農業・観光・交通の便の良さなど、さまざまな面で条件に恵まれている土地柄と深澤社長は語る。「この優れた環境を生かさない手はないと思います。微力ながらその発展を支える商社でありたいと願っています」と語った。


株式会社フカサワ
〒321-0954 栃木県宇都宮市元今泉4-6-9
TEL 028-651-0005 FAX 028-651-0010
URL http://www.fk-net.co.jp

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栃木の活性化の起爆剤に。